家族が認知症に!その時取るべき行動とは

家族の介護
elderly woman with dementia

平均寿命はどんどん延び、介護は誰にもやってくる時代。

2025年には高齢者の5人に1人(20%)が認知症になると予測されています。

自分の家族はまだまだ大丈夫だろうと思いたいし、私も実際に思っていました

けれど、やってきてしまいました。ある日突然に。

元気でバリバリと働き者だった母親が、ふと気がつくと不思議な行動が見られるようになりました。

もしかしたらもっと前から兆候があったのかもしれませんが、一緒に暮らしていても気がつきませんでした。

私は50代の看護師です。仕事柄多くの認知症の患者さんと出会ってきましたが、自分の家族のことになると、なかなか冷静ではいられないのが実際です😓

きっと多くの皆さんも、認知症の人の対応や介護って想像がつかないですよね。

今回は私の経験をもとに、大切な家族が認知症になった時の対応について具体的にお伝えします。

結論!! 「あれ?なんかおかしいぞ」と思ったら即受診を

私の母は2年前から物忘れが目立つようになり、認知症と診断されました。

今まで全力で家事をしてくれていた母に甘え、私は仕事に重きを置いていましたが、母が認知症になったことで、当たり前の家事がどんっとのしかかってきました。

50代から家事と仕事、そして介護・・・私にとってはかなりハードであり、時短勤務に切り替えなんとか看護師を続けています。

誰にも訪れるであろう介護の時。できるだけ遅らせたいし、親には元気でいてほしいですよね。特に認知症は本人、家族にとって大変つらい体験です。

「なんか最近、言っていることが変だなぁ・・🤔」と少しでも思ったら、それは認知症の大切なサインかもしれません。

ある程度高齢になったら、認知機能の低下は避けられません。しかしその程度が許容範囲なのか、これはなかなか判断がつきません。

おかしいかもと思ったら、まずは認知機能検査のために物忘れ外来や精神科にいきましょう。「おかしいかもの断定的な段階でぜひ受診してください。

精神科というと抵抗がある方も多いかと思います。そんな時は、「頭の健康診断にいってみよう〜」と促すと、意外とすんなり引き受けてくれます。これは私が精神保健科外来で、臨床心理士さんから習ったテクニックです。

ご家族から相談を受けた際にも、高確率でスムーズな受診に導くことができた必勝(?)ワードです

認知症の初期にみられる行動、言動

私の母の「おかしいかも」と思った初期行動には、以下のものがありました。

✅ゴミを出す日(ゴミの種類)を間違えることが多くなった。

✅同じことを何回も聞く。(多少は誰でもあることですが、10分もしないうちに聞くなどは怪しいです)

✅ぼーっとしていることが多い。今まで興味がなかったテレビ番組を見ている。理解はしていない。(例えばルールもわからないけど野球中継を見ているとか)

無表情なことが多くなった。

家事等の段取りができなくなる、献立を考えられなくなる、または時間がかかる。

✅約束を忘れる。カレンダーに書いていても忘れる

✅薬の管理ができなくなる。薬を飲まずにそのまま捨てている

定位置に物を片付けられなくなる。くつしたとズボンが一緒にしまわれているなど。

✅話を合わせてその場をごまかす。(取り繕い反応といいます)

これらの症状がみられ、本人も物忘れがひどくなったと自覚していました。私はすぐに、精神科の外来に連れていきました。

診断がついたら、認知症の進行を「ゆるやか」にする生活を考える

病院では、まず詳細な問診を本人と家族の両方に行います。生育歴やいつからどんな症状があるのかを具体的に確認されます。物忘れのテスト(「長谷川式簡易知能評価スケール」「MMSE」)CTやMRI検査などを行います。

その結果、認知症となれば薬を処方され、経過をみながら薬の量を調整していくことになります。

また、認知症の進行をゆるやかにし、介護の負担を軽減するためにデイサービス(通所介護)の提案などもしてくれます。

母の場合は、記憶に関する点数が低く、頭部MRIでも記憶の領域に所見が認められました。そのため認知症の初期段階と診断され、薬が処方されました。

私はすぐに、デイサービスを受けようと心に決め、病院の帰りに区役所に行きました

サービスを利用するためには、まずは介護認定を受ける

日本国民は介護保険制度を利用するために、介護保険料を40歳からおさめています。これを利用しない手はありません。

サービスを利用するためには、要介護認定を受ける必要があります。

母は80歳を超えていましたが、介護認定を受けたことはありませんでしたので、これが初めての手続きでした。

要支援と要介護の比較表

介護度自立度の状態具体的な支援内容利用できるサービス
要支援1基本的に自立しているが、家事などの支援が必要食事や排泄は自分でできるが、掃除ができない介護予防サービス
要支援2自立度がやや低下し、より多くの支援が必要入浴時に背中を洗えないなど、部分的な介助が必要介護予防サービス
要介護1日常生活の一部に介助が必要排せつや入浴時に介助が必要介護サービス
要介護2日常生活全般に部分的な介助が必要立ち上がりや歩行が不安定介護サービス
要介護3日常生活全般に全介助が必要排せつ、入浴、着替えに全て介助が必要介護サービス
要介護4自立した生活がほとんどできない食事や入浴など全てに介助が必要介護サービス
要介護5完全に介護が必要な状態寝たきりで全ての動作に介助が必要介護サービス

介護認定の流れは以下の通りです。

1️⃣市町村役場で要介護認定の申請を行う

申請をすると後日、介護認定調査員が自宅に調査にきます。

 認定調査では、簡単な質問、物忘れの程度や身体の動きの確認、日常生活動作(家事はできるか?買い物に行けるか?、薬の管理はできるかなど)について本人と家族に聞き取りがあります。認知症の薬が開始になっていると、ほとんど要介護1以上になります。

はりきって、「なんでもできますよ!」と質問に応えてしまう方もいますが、ここはありのままの普段の様子を伝えることが大事です。なぜなら、できることが多いと、軽い認定になってしまうからです。

本人の言っていることが家族から見て違う場合は、きちんと調査員へ説明しましょう。

2️⃣介護保険被保険証の交付

介護認定の判定後、介護保険被保険証が自宅に郵送されてきます。混んでいると1ヶ月程度かかります。

3️⃣ケアマネージャーの決定

地域包括支援センターや福祉課に相談すると「福祉サービスを行なっている事業所」を紹介してもらえます。(最初に区役所に行った際に、サービスを受けるまでの流れが書かれているパンフレットをもらえます)

私は自宅に近い地域包括支援センターに電話をかけ相談しました。すると後日ケアマネージャーが自宅に来てくれて、具体的に各事業所の特徴やサービスの内容を紹介してくれました。

例えばデイサービス(通所介護)では、一日型のところと半日型のところがあります。半日型のところは運動リハビリに特化したところが多いです。

一日型のデイサービスは入浴や昼食付きで運動リハビリや脳トレ、他の利用者さんたちとの交流などサービス内容が充実しています。

(ちなみに母の場合は、初めてのデイサービスだったのでまずは半日の運動特化型のところに行きました。数ヶ月通いましたが、認知症の母にはもう少し楽しみを感じながら、いろんな人とおしゃべりをしたりする方が脳の刺激になるのではと考え一日型の所へ変更しました。)

4️⃣見学を行い利用するサービスを選ぶ

本人にサービスを見学、体験してもらいます。サービス内容があわないなと思ったら、ケアマネージャーに相談し他の施設の体験も可能です。

5️⃣サービス担当者会議

サービスを決定したら担当者会議があります。ケアマネージャー、利用するサービスの担当者、サービスを受ける本人、家族(主となる介護者)でサービスに期待することなどを話し合い契約します。

やっとサービス開始!! なかなか長い道のりです。要介護認定が決定するまで1ヶ月、サービス開始まで1ヶ月、トータル2ヶ月かかりました。

また、これらの手続きのために、何度か仕事も休む必要がありました。今後も病院の付き添いなどで急な休みが必要になる可能性も高く、早いうちから職場には「介護が始まった」ということをしっかり伝え理解を得ておきました。

デイサービスで認知症の進行を遅らせよう!

見学をして決めたものの、デイサービスに通い始めてから合わないと感じる人もいます。はじめは知らない人に会うことに緊張したり、慣れない環境で疲れ、「行きたくない」と言う人も多いです。

母も最初は「楽しくない」とか「自分は元気だけど、みんな動けない人ばかりで自分も病気になりそう。すぐやめたい」と言い出しました。特に母は、もともと自身が介護の仕事をしていたこともあり、自分が人の世話になることは耐えられなかったようです。

しかも、問題点は物忘れなだけで体は元気なため、なぜこのようなところに通わなければいけないのか?と疑問に思ってもいたようです。

しかし、デイサービスの職員さんはその道のプロです!! 上手に母との関係性を構築し、母が好きなこと、得意なことをみつけてくれ、自尊心が高められるように接してくださいました

お風呂に入り、運動リハビリも行ってくれ、美味しい昼ご飯が出て、送迎付きというありがたいサービスです。

今ではすっかり慣れ、デイサービスで色々な人と接することで認知機能低下の進行を遅らせることに役立っています。

またデイサービスを利用することで、家族は介護から解放され、自身の時間を持つことができます。私にとっても、気分転換になり大切な時間となっています

Elderly people attending day services

認知症の対応:まとめ

残念ながら認知症は治癒しない病気です。しかし、早期発見で進行を遅らせることができます。

  • 「おかしいかも」と思ったら、よく行動を観察すること
  • 早めの受診をすること(早すぎるということはないと断言できます!)
  • 介護保険によるサービスを利用すること
  • 職場にしっかり伝え、急な休みがあることも理解してもらうこと

家族のサインに気づいたら、早めの受診と介護保険によるサービスの利用を積極的に行いましょう!!

そして家族も自分自身も、ハツラツとした毎日を過ごせるように、生活を整えていきましょう😊

コメント

タイトルとURLをコピーしました