慢性期病院で働く中で、私は少しずつ自分の気持ちの変化に気づくようになりました。
現場と組織の間にある違和感。
それでも、自分の部署を守ることだけは続けてきました。
けれどあるとき、
心の中で文句を言いながら働いている自分に気づいたのです。
「このままここで働き続けるのだろうか」
そんな問いが、静かに心の中に残るようになりました。
今回は、私が退職という選択を考えるようになった理由について書きたいと思います。
このシリーズでは、看護管理職として働く中で感じた葛藤や気づきを、実体験をもとに書いています。
- 第1話:面談で未来を描けなかった頃
- 第2話:関係性が崩れ、病棟を支え続けた日々
- 第3話:慢性期病院で見えた組織の限界
- 第4話:退職を決めた本当の理由
組織との価値観のズレ
慢性期病院で働くうちに、私は次第に組織との価値観の違いを強く意識するようになっていきました。
組織の方針と、現場で起きていることの間には、大きな隔たりがあるように感じていました。
もちろん、何も言わずにいたわけではありません。
看護部に対して、人材育成のあり方や組織風土について問題提起をしてきました。
現場で何が起きているのか、実際に病棟を見に来てほしいということも伝えてきました。自分の病棟だけでなく、病院全体を担当副部長が見に行くことを徹底する。実際に病棟をラウンドすると、病棟の空気感はすぐに感じ取れます。
しかし、副部長のラウンドは継続されず、現場の状況を十分に理解してもらえているとは感じられませんでした。
組織が掲げる目標と、現場で起きている現実。
その間にある距離は、簡単には埋まらないように思えました。
同じような違和感を抱いている師長や主任も、少なからずいました。
自分の部署だけを守ることへの虚しさ
それでも私は、自分の病棟を守ることには全力を尽くしてきました。
スタッフ一人ひとりと向き合い、病棟の雰囲気を整え、患者さんに向き合うチームを作ること。
それが管理職としての自分の役割だと思っていたからです。
しかし次第に、こんな思いが心に浮かぶようになりました。
自分の部署だけを守っていても、
組織全体の看護の質が良くなるわけではないのではないか。
そう思ったとき、どこか虚しさを感じるようになっていきました。
心の中で文句を言いながら働く自分
そしてあるとき、気づいたのです。
私は、心の中で文句を言いながら働いている。
もちろん表には出していません。
それでも、組織のあり方に対する不満を抱えたまま働いている自分がいました。
私は、そんな自分の姿が嫌になっていったのです。
もうここで頑張らなくてもいいのではないか
そしてあるとき、ふと思いました。
「もう、ここで頑張らなくてもいいのではないか」
その瞬間、
張りつめていた気持ちが、少しほどけたような気がしました。
私は、自分の中で静かに決めていました。
この組織を離れて、自分が前向きに働ける場所を探してみようと。
新人の頃から34年間、私はこの法人で働き育ててもらいました。
そのことへの感謝の気持ちは、今も変わりません。
最後が、自分の理想通りの環境だったとは言えないかもしれません。
それでも、自分なりにやれることはやってきたという思いがあります。
だからこそ、これからは
本当に自分が前向きになれる働き方をしたい。
看護の現場を離れたとしても、
医療や看護に関わる形で社会に貢献できることは、きっとある。
組織の中で働くことだけが、すべてではない。
そんなことを、今は考えています。
あの時を越えて、今
退職してから半年。あの時の決断を、今もう一度振り返ると——正解だったと心から思えます。
今はブログを書いたり、長く後回しにしていた園芸の時間を取り戻したり、母の介護にゆとりを持って向き合ったり、新しい仲間との出会いを楽しんだり——以前の自分には想像できなかった暮らしをしています。
「辞めて、どうなったの?」その答えは、別の記事にまとめました。同じように迷っている方の、何かの足しになれば嬉しいです。

管理職として働いた時間を振り返って
管理職として働いた時間は、決して楽なものではありませんでした。
それでも、この経験があったからこそ見えたことがあります。
このシリーズは、私自身が歩いてきた時間を振り返りながら書いた記録でもあります。
もしこの記事が、同じように悩みながら働いている誰かにとって、
自分の働き方やこれからの生き方を考えるきっかけになれば嬉しく思います。
この話を、こんな方に届けたい
今、退職を考え始めている看護管理職のあなたへ——
- 心の中で、文句を言いながら働いている自分に気づいた
- 組織との価値観のズレが、埋められないと感じる
- 「もう頑張らなくていいのではないか」と思う瞬間がある
当時の私が、振り返って伝えたいことは3つあります。
① 「辞める」は、逃げではない
組織を離れることは、自分を守るための正当な選択肢です。何年働いたかは、もう関係ありません。自分の人生を、自分で選び直していいのだと思います。
② 張りつめていた糸は、一度ほどいていい
「頑張らなくていい」と気づいた瞬間、私は肩の力が抜けました。止まってみないと見えない景色があります。
③ 看護の経験は、どこに行っても活きる
34年間の積み重ねは、組織を離れても消えません。次の場所で、違う形で咲くこともあります。判断力・傾聴力・調整力——看護師が日々使っているスキルは、他の業界でも価値があります。
看護師の経験が病院の外でどう活きるかは、こちらの記事で詳しく書いています。

また、ストレスやメンタルに疲れを感じている方は、セルフケアの記事も参考にしてください。

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